はじめに:車の盗難届出の重要性
近年、車の盗難被害は依然として深刻な問題となっています。特に高級車や人気車種は窃盗団の標的となりやすく、被害が後を絶ちません。万が一、愛車が盗難に遭った場合、迅速かつ適切な対応が求められます。その第一歩が、警察への盗難届出です。盗難届を提出することで、警察による捜査が開始され、車両の発見や犯罪の抑止につながります。また、保険金の請求や税金の減免手続きにも必要となるため、被害者にとって重要な手続きです。本記事では、盗難届出の方法やその後の手続きについて詳しく解説します。

盗難届出の手続き
盗難に気づいたらすぐに警察へ連絡
車の盗難に気づいたら、すぐに最寄りの警察署や交番に連絡しましょう。110番通報も可能ですが、緊急性が高い場合に限ります。警察には以下の情報を伝えるとスムーズです。
- 車両のナンバープレート番号
- 車種、色、年式
- 車台番号(可能であれば)
- 盗難に気づいた日時と場所
- 盗難時の状況(施錠の有無、防犯装置の有無など)
警察はこれらの情報をもとに捜査を開始し、盗難届を受理します。受理後には「受理番号」が発行されますので、必ず控えておきましょう。この受理番号は、保険金の請求や車両の抹消登録など、今後の手続きで必要となります。
盗難届出に必要な書類
盗難届を提出する際、以下の書類が必要となる場合があります。
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 車検証のコピー(可能であれば)
- 盗難時の状況を説明する書類(任意)
警察署によっては、盗難届出のための専用用紙が用意されている場合もあります。事前に警察署のウェブサイトや電話で確認すると良いでしょう。

盗難届出後の手続き
保険会社への連絡
盗難届を提出したら、速やかに加入している保険会社に連絡しましょう。車両保険に加入している場合、盗難による損害が補償される可能性があります。保険会社には以下の情報を伝えます。
- 盗難届の受理番号
- 盗難時の状況
- 警察署の連絡先
保険会社はこれらの情報をもとに調査を行い、保険金の支払い可否を判断します。調査には通常1〜2ヶ月程度かかることが多く、連絡後すぐに保険金が受け取れるわけではないため注意が必要です。
一時抹消登録の手続き
盗難に遭った車両は、運輸支局で「一時抹消登録」の手続きを行うことができます。これにより、自動車税の課税が停止され、車両が見つかった場合には再登録が可能となります。手続きには以下の書類が必要です。
- 盗難届の受理番号
- 車検証(可能であれば)
- 理由書(車検証がない場合)
- 印鑑証明書
- 実印
- 委任状(代理人が手続きする場合)
一時抹消登録を行うことで、自動車税の還付を受けることも可能です。詳細は、最寄りの運輸支局にお問い合わせください。
一時抹消登録の詳しいやり方は以下の記事をチェック!
自動車税の減免手続き
盗難により車両が使用できなくなった場合、自動車税の減免申請を行うことができます。申請先は、普通自動車の場合は都道府県税事務所、軽自動車の場合は市区町村役場です。申請には以下の書類が必要です。
- 盗難届の受理番号
- 一時抹消登録証明書
- 申立書(各自治体で様式が異なる)
申請期限や手続き方法は自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
盗難車が見つかった場合の対応
警察から連絡があり、盗難された車両が発見された場合には、以下の対応が必要になります。
警察署での手続き
発見された車両が自分のものであることが確認されると、警察署で「盗難届取消」の手続きを行う必要があります。これにより、警察のデータベースから盗難車としての登録が解除されます。
提出書類は以下の通りです:
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 車検証
- 盗難届受理番号
- 発見連絡を受けた書面(ある場合)
盗難届を取り下げる際には、車両の状態を確認した上で、被害届に基づいて処理が完了します。
保険会社への連絡
盗難保険を利用している場合、車両が見つかったことをすぐに保険会社に連絡してください。既に保険金の支払いが完了している場合は、保険会社に返還義務が発生することもあります。また、見つかった車の状態により、修理や全損の扱いなども判断されます。
一時抹消を取り消して再登録するには
すでに一時抹消登録を済ませている場合、見つかった車を再び使用するには「登録識別情報等通知書(旧:登録番号標交付通知書)」を用意し、「再登録(中古新規登録)」の手続きを行います。必要書類は以下の通りです:
- 登録識別情報等通知書
- 車検証(以前のものまたはコピー)
- 保安基準適合証または車検整備記録簿
- 自賠責保険証明書
- 印鑑証明書と実印
- 委任状(代理人が申請する場合)
よくある質問(FAQ)
Q1:盗難届を出すと警察はどのくらいの期間捜査してくれるのか?
警察は原則として盗難届を受理した後、一定期間は情報提供を求めたり、被疑者を捜査します。しかし、発見率は低く、長期間見つからないこともあります。ただし、盗難届を出すことで不正使用などを防げるため、必ず提出しましょう。
Q2:盗難届はいつでも取り下げられるのか?
はい、車両が発見されて本人に返還された場合は、盗難届を取り下げることが可能です。警察署での手続きが必要となります。
Q3:盗難届を出すのに費用はかかる?
盗難届の提出自体には費用はかかりません。ただし、その後の一時抹消登録や保険対応などに必要な書類の取得費用、交通費などの実費は発生します。
車の盗難防止対策

1. ハンドルロック・タイヤロックを活用
物理的なロックをつけることで、窃盗犯に対して抑止効果があります。安価な対策でも十分効果が期待できます。
2. GPSトラッカーの導入
万が一盗難に遭っても、位置情報がわかるGPSトラッカーを取り付けていれば、追跡が可能です。最近ではスマートフォンと連動するタイプもあり、簡単に管理できます。
3. 防犯カメラ付きの駐車場を選ぶ
自宅・外出先問わず、防犯カメラ付きの場所に駐車するよう心がけましょう。特に、夜間や人気の少ないエリアでは注意が必要です。
4. スマートキーの電波遮断ポーチ
スマートキーを利用している場合、リレーアタックによる盗難が増加しています。電波を遮断する「電波遮断ポーチ」を使用して盗難を防止しましょう。
まとめ
車の盗難は誰にでも起こりうる重大な被害です。しかし、盗難に気づいた際にすぐに警察に連絡し、適切な手続きを取ることで、早期発見の可能性やその後の保険対応もスムーズに進みます。また、盗難後の抹消登録や税務手続きも忘れずに行いましょう。
盗難を未然に防ぐためには、防犯意識を高め、日頃から盗難防止対策を徹底することが大切です。本記事が万一の際の対応や、盗難防止の一助となれば幸いです。